●行列店のかき氷

かき氷もブームではなく定着した感があって、一年中食べられるスイーツになりました。

実は軽〜く20年くらい食べてなかったんですが、3年前から必ず夏は食べに行くお店があります。
朝から並んで、開店の10時には一日分の席が予約で埋まってしまうという人気店。

行列、苦手なんですけど…このお店のかき氷「おまかせ」はそれを耐えても食べたいほど好きなんです。
古い和菓子屋さんのイートインで夏だけ出している抹茶あじの氷。
かけられたシロップがほろ苦く香りよく、合い掛けの練乳シロップも美味しい。
そして特筆すべきは…雪どころか片栗粉のようなきめ細かいさらっさらふわふわの氷。

正直、どうせH2Oじゃないですか。
そう思ってたんですよ。
でも違う。
かき氷ってこんなに美味しいの?と思って他の店もいろいろ行ってみましたが、美味しくてもここまで感動はないんです。

このお店を教えてくれたのはかき氷通の友人ですが、うちからわりと近いことも有り、時々早起きしてひとりで並びます。
(強者は携帯用の椅子を用意して並んでます)
行列なんですが、お店の人が感じよくて段取り良く、お客さんも慣れた感じでゆるっと待っているのがいい。文庫1冊持って、帽子かぶって首にタオルかけて待ってるのも夏の日の1ページ?

そして、この「おまかせ」…氷とシロップも美味しいんですが、底の方にヒミツがあるんです。
知る人ぞ知る、ですが…TVのかき氷店特集などでは見かけないので、ご興味のあるかたはこの日記のなかのヒントで検索してみて下さい。

●東のかき氷・西のかき氷・南のかき氷

かき氷を見直した時に、下北沢の昔ながらの氷屋さんに行ってみました。
土間に丸テーブルが2つ、そして大きな古い鋳物のかき氷の機械。
食べ進んで氷が少なくなったらサービスで足してくれます。

「戦後からやってるのよ」
というおばちゃん(70代だとおっしゃってました)に、それならと気になっていたことを訊いてみました。
「東京って昔、かき氷のシロップは器の底だけに入れませんでした?」
「あらよく知ってるわね」

私が子どもの頃食べたかき氷は器にスプーンを入れて、シロップを入れて、そこに氷をふわっと丸く盛ってありました。上からシロップはかけません。
だから食べるにはまず盛った氷をこばさないようにスプーンを抜いて、そのへんからそっと崩していったんです。
「でも今はかけるのが流行だから両方にしたのよ」
とおばちゃん。


上からシロップと言えば、小学生の頃父親の転勤で住んだ広島のかき氷がそうでした。

近所の、やはりおばちゃんが1人で切り盛りする4坪くらいのお好み焼き屋さんで、夏にはかき氷も出したんです。
それがすごかった。
かき氷の器の縁から20センチほどの高さまでタワーに盛り上げた氷に、上からシロップを大ぶりの口細ボトル…あのケチャップやマスタードを入れるような…でブシュブシュざばざばかけるのです。シロップで氷が縮んだら軽く抑え、更に氷を乗せて、タワーは維持。

前述の江戸前かき氷しか知らなかった幼い私はカルチャーショック。

当時引っ込み思案で自分でオーダーができなかった弟におばちゃんが

「自分で何味がええかゆうてくれんと、みなかけるけえね
と次々シロップをかけ続けたのもいい思い出。
虹色の氷のタワーが鮮やかでとてもキレイだったのを憶えています。

今時はフレッシュいちごやマンゴーやナッツなどのリッチなかき氷もありますが、あのバリバリ着色のチープなシロップ、あれこそがかき氷という思いもなきにしもあらず。

(ちなみに、20年以上経ってから訪ねて行ったら、おばちゃんは元気で私のことも虹色氷のエピソードも憶えていてくれました)

あ、沖縄好きとしてはあまがしーも外せません。
金時豆と黒糖のシロップにかき氷、のアレですね。
現地で昼間の暑い時間に頂くとたまりません。
ミネラル、効く〜っ!って感じです。

他の地方のかき氷はどうなんでしょうね?
こういうものは、情報伝達の発達で均質化してしまうとちょっと寂しい。


ところで、下北沢の氷屋さんのおばちゃんが言っていました。
「でもね、ほんとうは若い娘さんたちが冬までかき氷を食べるのは、身体を冷やすので良くないと思うのよ」

確かに…。
私は若くないけど、朝イチで並んで山盛りのかき氷食べると胃がキリキリするので(笑)2/3量で2/3値段のメニューが出来ないかな。
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