おひとりさま漫画家ですが何か。

すきま漫画家かずはしともの 食べて飲んで寝てちょっぴり仕事の日常

●1時間で何冊取り込めるか?

テストで1冊ぶん読み込んで、スキャンスピードはそこそこ速いのがわかりました。
仕様では「A4サイズ300dpiフルカラーで毎分25枚」とのこと。
A5サイズを縦置きでスキャンしているので、取り込み幅はほぼ同じです。
でも、もう少し速い時も遅い時も…なぜか速度にムラがある。

あ、それから注意点。スキャンし終わったページは排出されてもすぐトレイからあふれてしまうので、スキャンした順番をキープしておきたい人は、積み重なり方が乱れないように出てきたページが飛び出さないガードをして、なおかつ定期的に回収したほうがいいです。
私は万一失敗して、もう一度スキャン…なんてことがあるといけないので、ページ順を守って1冊ごとに輪ゴムで束ねることにしました。
まさかね。そんなことありませんように。

一度に投入できる50枚ごとに機械が止まってしまうのも地味にタイムロス。
前の紙がなくなりそうになった時を見計らって巧く次を追加すると、止めずに済むようです。
500ページの本のスキャンは、スムーズにいけばだいたい1冊10分前後だとわかりました。
時々接着剤が付着するセンサーを清掃する時間なども含めると、1時間平均でだいたい5〜6冊ほど。

…問題は、ずっとスキャナの前で紙束を持ってスタンバってなきゃいけないということ。
合間に裁断なんて出来ないな…。

仕方がありません。ざくざくと10冊裁断して、10冊ごとにスキャンして、PCにつないだ64GBのフラッシュメモリと外付けHDに、レーベルごとに保存するという地味な作業を続けました。
3日ほどで15GBほどのデータになりました。

さて、そこで漫画の仕事期間に突入。

●そんなばかなっ…!?

原稿の〆切りを終えて再び自炊作業に戻りました。
まだレンタル期間はあと一週間ほどあるし、ぎりぎりなんとか全部終わりそう。

64GBのフラッシュメモリは今20GB使用。
おおう、全然余裕。

と。その時。
PCが固まりました。
うそ?滅多にそんなことないのに?

あらゆる手立てを使ってもポインタは動かない。
これはマシンを再起動させるしかないか…。

電源を一度切って、再起動。
さあ、再作業。保存先を指定して…あれ?
64GBのメモリが認識されていません。
やっちまった…!
20GBぶんのデータ、飛びました。

HDDに保存したレーベルは無事でしたが、メモリのほうのレーベルは消失です。
あああ、便利だけど脆いフラッシュメモリ。
永久保証だけどデータは保証されてないフラッシュメモリ(TωT)

スキャンし終わった雑誌、まだ捨ててなくて良かった…。

しかし。

レンタル期間はもうわずかしかないのです。
その間に再スキャンしつつ、残りの雑誌を裁断して、かつスキャンしないといけません。

出来るのか?ひとりで?
(続く)

●スキャン気持ちいい!

1冊裁断し終わったので、試しにデータ化してみることにしました。
雑誌の雰囲気を残したいので、グラビアやインク色、紙色も残せるカラーで。 
データ解像度はスキャナ推奨の200dpiを選びました。
保存形式はJPG。 
PDFで保存も出来るのですが、JPGならばあとでPDFにするのも楽だと思ったので(その逆はきっと面倒)。

200って結構大きいデータサイズでないかい?
(ちなみに漫画のデジタル原稿の解像度は一般的に原寸でカラーで300dpi、モノクロ原稿は600dpi以上です。電子書籍コミックは一概に言えませんがPCモニタで鑑賞する程度のサイズ原寸で72dpi以上が多いと思います)

ドキュメントスキャナはFAXのように原稿を立てて吸い込み、ヘッド(=イメージセンサー)が上下2つ付いているので一度に両面がスキャンできます。
カラーを自動的に感知したり、サイズを圧縮してくれたり高機能。

試しに1枚スキャンしたら、200dpi、納得の画質です。1ページあたりのデータサイズは300KBを超えるくらい。 
続いて数枚まとめてセットしてみましたが、ある程度ラフにスキャナの送信トレイに入れても矯正されて取り込まれ、データを見ても差は感じられません。
全部のページの右隅に縦スジを発見したので、付属のクリーナーでイメージセンサーのガラス面を掃除したらそれも解決。

よし、じゃあ1冊スキャンしてみようか。
テストなのでPCを保存先にして、雑誌の名前と年度・号数をファイル名に設定します。
送信トレイにさばいた雑誌のページをセットして、スキャン開始。

ページがすいすい吸い込まれていきます。
うぃーん、うぃーんと規則正しいスキャン音。
おお、速度も優秀。
これなら1ヶ月もレンタルしなくても一週間で良かったんじゃない?
このすきに次の雑誌を裁断してしまおう。

●タイムロス

そこで音が止まりました。
あれ?

スキャナのトレイが空でした。
送信トレイにセット可能な枚数って意外と少ないんです。仕様書によると50枚。
改めてページをセットします。
500ページの本だと5回入れなくちゃいけないのか…。

と、思っていたら
「ぐしゃぁああぁぁあぁ」
まのびした嫌な音を立ててスキャナが止まりました。
つながった紙が半端に機械からはみ出しています。

裁断した時にのどの接着剤部分が残っていたらしく、ページが2枚つながっていたんです。
機械を開けてページを剥がし、再スキャン。
利口な機械で「どこまで取り込んだか」がPCのモニタに表示されるので助かりました。

こういうこともあるのか…と残りのページを再チェック。ざざざっとお札みたいに捌くとくっついている部分がわかるので指で剥がします。深めに裁断すれば良いんですが、漫画ののどが切れてしまってはいけません。

引っかかったりつまずいたりしながらどうにか1冊スキャンを終わりました。
A5サイズの雑誌・520p・解像度200dpiで、データサイズは1冊170MB。
予想していたよりは少ない感じです。
これなら64GBのフラッシュメモリにもたっぷり入るはず。

これを200冊…心して本番へ。
(続く)

●まずは下準備から

さて、いよいよ初「自炊」です。
データサイズがどのくらいになるのか見当もつかなかったので、32GBと64GBのフラッシュメモリを2本と、1TBの外付けポータブルハードディスクを用意しました。

けっこうな容量ですが、実はA5判・500P前後の雑誌が10年分以上あるのです…。

レンタルショップから届いた大きなダンボール箱を開けると、ドキュメントスキャナ(書類の取り込みに特化したスキャナです)と、特大裁断機(これだけで重さ17kg!)がきっちり収まっています。
裁断機の刃は交換済み。必要なケーブル、スキャナのドライバCD、取説、スキャナのヘッドクリーナー、それに梱包の順番の図解まで入っていました。至れり尽くせり。
でも自分自身が信用できないので、1品取り出すごとに箱の状態を撮影。

パソコンにスキャナをUSBケーブルでつないでドライバをインストール。
設定を無線接続にすれば、もうケーブルは外してもOKです。
我が家のメインマシンはMacintoshなので、Windowsなら容易に出来ることに四苦八苦…なんてこともあるのですが、すんなり稼働しました。
データの保存先をPCに刺した64GBのメモリに指定。

●サクサク、ガッチャン。

次はスキャンする物の準備、裁断です。

実はこの大きな裁断機でも、対応する厚さは3センチまで。
今回の雑誌は5センチ以上の厚さなので、それでも2回に分けないと切れないんです。

幸い最近の雑誌は、背を熱で溶ける接着剤でつける無線綴じなので手やカッターナイフで半分に割れますが、昔だったら2カ所の長ーいホチキス針をいちいち引き抜かないといけなかったんだろうなあ。

まず雑誌の表紙(表1)を慎重に引いて背表紙を剥がし、裏表紙(表4)までを外します。
スキャナはA4までしか取り込めないため、背表紙と表4の間をカッターで切り離して2枚に分け、スキャンに備えます。
残った中身は背に少しカッターで切れめを入れ、ゆっくり厚みを半分に割ります。
なんだか魚を捌いてるみたいだぞ。

裁断機の安全装置を外し、雑誌の「のど」部分が切れすぎないように、背から3〜4ミリの位置に刃が合うようにしてねじで固定。
ハンドルに力をこめて…ガッチャン!
ざっくり接着剤部分が切り落とされる。鋭角な切断面で、一見ワリバシのよう。
力もたいして要らず、素晴らしい切れ味!
刃の周囲には「注意!指を入れるな」の文字が赤々と記されています。
…私のような不器用者は要注意!心に留めます。

ただ、切り落とされた「ワリバシ」をよく見ると、なんだか斜めになっています。
束の厚みのせいで、下のほうに行くとずれて幅が広くなってしまうんです。
かなり強めに固定しても斜めに刃が入るようで、ある程度は我慢かな…。

次はいよいよスキャニングです。
ここまでは順調でしたが…!?(続く)

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